3-10饒鈸

3-10

饒  鈸(にょうはち)

 

昭和43・12・2市指定 工芸

口径43.3㎝

 

 饒鈸は法会に用いる楽器の名である。饒はドラと訓じ、金銅の別がある。金饒は火熨斗(ひのし)のように柄があり、銅をもって框(わく)とし、中に丸を入れ鈴のように振って音を出す。銅饒は鈸に似て形小さく音も清澄である。鈸は銅鈸、銅鉢子、銅盤といい円形の銅板の中央部を隆起させ、その頂に穴をあけ、紐を付け、二個を擦撃して楽を奏する。現今は鈸を饒鈸という。

  本品は大形で重く中央隆起部が小さく現今のものと異なっている。曼陀羅寺保存の饒鈸を納めた箱の裏底には、元亀四年癸酉、青山新七郎寄付とある。元亀二年、織田信長が比叡山攻略の際これに参加した青山新七が持ち帰り、罄子(けいす)とともに曼陀羅寺へ寄進したもので、中国伝来のものであるという。