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          絹本著色浄土変相当麻曼荼羅図

 

昭和48・11・26県指定 絵画 

縦122.0㎝ 横123.0㎝

 

 現在奈良県當麻寺に秘蔵されている国宝綴織當麻曼荼羅図、重要文化財浄土曼荼羅絹本著色掛幅、伝法橋慶舜筆の緊密正確な模本の一つで、鎌倉末期の作である。

 外廊を宝相華模様のかき表装で囲み、内、外陣とも一筆もゆるがせずかきあげている。左、右、下の三外陣には、すべて金細字で観経の文言をあて、場景の解題の役を果たさせ、下辺中央部にも図写のゆかりを、これまた細字で書き写していることも型のとおりである。

  なお、本図は寺伝では寛正3年(1462)このお寺の第三世空光上人以来伝持するところとあるが、本図の細謹で強靭な筆蝕と、温和端麗な面貌描写は、この伝えをうなずかせる。

 

曼陀羅出現 この曼陀羅は、境内の曼陀羅堂に祀られており、寛正3年(1462)住持のもとに極楽浄土のあり様の描かれた曼陀羅が出現したと伝えられ、これを機に寺号を曼陀羅寺と改称し、長く信仰されてきた。曼陀羅出現の様子は、江戸期の『尾張名所図会』には、次のように記されている。

 「さて、曼陀羅を開き見れば大和の国の當麻寺の古幅と露たがう事なし。折ふし朝日影堂内にさし入り、曼陀羅に映じ衆僧の目を驚かしければ、歓喜の余り別堂を営み、曼陀羅をかけ置けり。」

 また、曼陀羅は中将姫信仰と融合し、中将姫自ら蓮糸をもって織り上げたという法話を生み、広く信仰されてきた。当寺では、およそ25年毎に「お開帳」と称して秘仏の曼陀羅が公開され、近在から多くの人が参拝に訪れる。

 なお、曼陀羅は曼荼羅とも書き、當麻曼荼羅図、曼陀羅尊とも言われている。当寺の「曼陀羅寺」は固有名詞のためこの記述による。