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     *境内図は、項目「藤の花

                正   堂                                                                                                                                                      

昭和32・6・18国指定重要文化財 建造物

桁行五間、梁間五間、一重、入母屋造、向拝一間、軒唐破風付檜皮葺 付 棟札  

 注;〇間の間は一間(ま)のことで、六尺の長さにかかわらない。

 

 正堂は、本寺の中核をなすもので、本尊の弥陀三尊を安置した建物である。寛永9年(1632)阿波国守蜂須賀家政が、幼児本寺塔頭本誓院に学んだ縁によって寄進したものである。古式にのっとり本堂を復旧したもので、五間四面の構え、紫宸殿風の檜皮葺の屋根、柱の配置は、南北朝前期の紫宸殿を再現したもので、それが国指定の大きな理由である。近年内陣廻りを改造したが、昭和34年から36年にわたる修理で、復元された個所が多い。この正堂は当地方に類例のない浄土宗本堂の代表的なものである。また、棟札は易経に基づいたもので珍しい。

  総体に構造、手法は、江戸初期の状態を伝えている。

 

○   堂 内  本尊はじめ次のお像が安置されている。「本尊阿弥陀如来像、脇侍の観音・勢至菩薩像、宗祖法然上人像・中国浄土教の高僧善導大師像・流祖西山上人像、開山乗運上人像」 また、上部壁面には修理の状況を示す各種墨書があり、屋根裏には各種棟札、屋根の箱棟には災害の様子を記した墨書がある。

 

○   災 害 曼陀羅寺は創建以来繰り返し災害に会い、その都度修理を行って復興してきたが、近世以降では、明治24年(1891)10月に発生した「濃尾地震」により壊滅的な被害を受け、このとき山内の建物はほとんど倒壊したが正堂は半壊にとどまった。

  また、昭和34年9月には「伊勢湾台風」に襲われて甚大な被害を受け、正堂の扉は吹き飛び、烈風が堂内を吹き荒れて彫刻の組み物が吹き飛ばされた。



〇   檜皮葺 正堂の大屋根は「檜皮葺という特殊な伝統技法」により葺かれており、檜皮は樹齢80~90年生以上の檜の立木から表皮を剥いだもので、国宝、重要文化財の多くがこの檜皮によって葺かれている。葺き替え作業に当たっては、檜皮を少しずつずらしながら竹釘で留めて何枚も重さね、優美な曲線を作り方あげている。屋根の面積は約1,000㎡あり、単体の檜皮葺の屋根としては東海三県には類例を見ない広さがある。30年ごとに葺き替えを繰り返し、直近では平成30年9月末に葺き替えを完了した。(写真:檜皮葺 葺き替え作業)